ときわたり

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 トビアスから力一杯肩を叩かれ続けるオットー。そこまでしなくても、と控えめに止めるトウガの横で、フィルがオットーに、強くなれよ、などと筋違いなアドバイスを送っている。それを呆れた顔で眺めるウィルに、リュウが話し掛けた。 「ウィル」 「ん?」 「レオンはまだ医務室だ」 「あー」  ウィルは頬を指でかいた。 「やっぱり、相当無茶したんだね。雷を剣で撃ち返したの」 「左腕に痺れが残っているらしい。フローラが診ているから、おそらく問題はないと思うが、もうしばらく休ませてやってくれ」 「了解。フローラ姉さんが発ったら、後はライさんに頼むよ」 「任せた。ウィルの奥方は、その後問題なかったか」 「大丈夫。一応家まで送ってきたし」  リュウはそうか、と軽く頷くと、各地で談義を繰り広げる隊員たちを見回した。 「俺やフローラが空けると、ギルドの隊長はしばらく、お前ら双子しかいなくなる。残る隊員も半分以下だ。数日間だが、何とか持ちこたえてくれ」  ウィルも同じように隊員たちを見回しながら、小さく頷いた。
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