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「レオン君」
ベッドをぐるりと取り囲む白いアコーディオンカーテンが静かに開けられた。帳面を抱えたフローラが、ベッド脇に備え付けられていた丸椅子に腰掛ける。
「体調、どう?」
「まあ、もともと腕だけだし」
「さっきは顔色もひどかったよ」
ゆっくり上半身を起こすレオンに、フローラが口を尖らせる。
「真っ青だった。唇まで」
「貧血ってこと? 雷で磁気を吸い上げるとか言ってさ。僕が鉄分を吸われたのかな」
「もう。あんまりふざけてると、シェリーちゃんに話しちゃうよ?」
「それは勘弁してください」
レオンは笑いを嚙み殺す。雷なんて撃ったとシェリーに知れたら、本当にただでは済まないだろう。
「……でもなあ。タツキは撃ってすぐに階段駆け上がったりしてたのに」
「タツキ君は規格外だからね? 比べちゃ駄目だよ。レオン君だって、腕が痛いの微塵も出さないで振る舞ってたじゃない」
「それなら難しくないよ。黙ってるだけだもの。軽い応急処置ならすぐ出来るし」
「……。シェリーちゃん、大変だろうなあ、これじゃ」
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