ときわたり

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「お母さん!」  不意に医務室の扉が開く。開けた当人であるイライザは、中にフローラのみならずレオンまでいることに気付き、あ、と小さく口を開けた。 「ご、ごめんなさい! わたしったら、ついいつものノリでノックもしないで」 「いやいや、仕方ないよ。ここ、六番隊室でもあるんだろ?」 「まあそうなんだけど……」 「お前、ほんと、いつまでも注意力散漫なー」  実はイライザの後ろにいたフィルが、大袈裟なくらいに溜め息をつく。当然、イライザは仏頂面をして振り返った。 「何よ! ていうか、いつまでいるのよ! もう会議は終わったでしょ!」 「レオンさんの様子見に来ちゃ悪いかよ! だいたいお前、その会議でさっき決まったろ! 一番隊と四番隊はしばらく合同で動くんだよ。お前もしばらくおれの部下なの! たまには敬ってみろってんだ」 「知ってるわよ。四番隊がフィルさん以外全員出張で収拾つかないからでしょー」 「あんだと!?」 「ま……まあまあ」  突然の喧嘩に面食らうレオンの横で、フローラが苦笑する。 「ライちゃん、わたしと交代に来てくれたんだよね。ありがとう。レオン君ならこの通りだけど、一応怪我人だから、静かにね」
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