ときわたり

29/37
前へ
/630ページ
次へ
「瑠璃に行くのにレオンさん抜きとかな」  エリックが少し胡散臭そうにトウガを見た(レオンは何も言っていないのだが、当然のようにレオンを休ませる前提で話が進んでいるようだ)。 「本当に大丈夫かよ?」 「まあ、おれも一応、今の国王とは血縁だから……」 「なかなか独特な方なんだろ。さっきフィルさんが言ってた。オズワルドさんに似てるとか何とか」 「オズワルドさんって、マイルズさんの兄上だよね? ヴィクトルに似てるの?」 「同じ匂いがしたぜ」  レオンの疑問には、そのフィルが応じる。 「レオンさんやトウガより、あの兄貴がヴィクトルの血縁って言われた方が、おれは驚かないね」 「そうでしたっけねえ……。おれはもうしばらくお会いしてないので、どんな方かとんと忘れちゃいましたよ。両親宛ての手紙はたまに見てましたけど」 「トウガ君の話もしてたはずだよ。ヴィクトルも、君が子どもの頃から気に掛けてたからね。状況が状況だけど、訪問は喜んでくれると思う。良い機会だし、頑張っておいで」 「……うす」
/630ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加