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ここまで言ったは良いが、ここでシェリーははたと考える。果たして、タツキとウラノスを引き合わせて良いのだろうか。そんなことをしたら、ウラノスはタツキを完全な死者として扱ってしまわないだろうか。シェリーの目の前で、記憶を消す儀式なんてやられたら? 彼のことは隠して、シェリーだけで行くべきか。
ただ、タツキにそれを話してみたら、あいつはもう、オレをどうにも出来ないよ、と気だるそうに返ってくるだけだった。
「……あれ」
瑠璃に行くからと四番隊室で身支度をしていたトビアスは、鞄に掛けていた両手をふと止めた。そのまま自分の手のひらをじっと見つめている。横で書類の整理をしていたフィルが気付いて、身を乗り出した。
「なんだ、どうした?」
「いえ……」
「おいおい、歯切れ悪いな。言ってみろ。どうせ今はおれしかいない」
マイルズは兄と話しているし、オットーも今は六番隊でフローラと話をしている。鼻息を荒くするフィルを、胡散臭そうに見るトビアス。
「だから不安なんすけど」
「おい!」
「冗談です。ちゃんと話します」
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