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確かに、トウガも頭で分かってはいる。瑠璃の正当な姫であるクリアの息子だ。やむを得ない。しかし、瑠璃の王子と言えばレオンがいる。瑠璃では王子、地上では竜騎士、天界でも王族の配偶者(天界ではあくまでも王配となるらしいが、現実は当たり前のように王子様と呼ばれていたりする)となると、どの方面から見ても隙がない。何なら竜世界でも特別扱いされる人物だ。トウガは溜め息をつく。
「あんなのにかなうわけないから……」
「まあ、血筋が強すぎるんですよねえ。とはいえ、トウガさんはトウガさんですから、気にしなくていいとは思いますけど」
「血筋はそうかもしれないけど、おれはここで偉そうにして良い立場じゃないもんなあ。だって現状、何にもしてないんだぜ」
「ですから、これからしに行くんですよ。なんたって俺たち、瑠璃を守るための提言に来たんです。前向きに行きましょ。な、オットー」
トビアスに肩を叩かれたオットーは、無言でゆらりと前に揺れた。クラゲのような漂い方に、トウガとトビアスは一瞬顔を見合わせる。しばらく考えた二人は、こんな結論に至った。
「酔ってる」
「酔ってる……?」
「うええ……」
「ちょ! 大丈夫!?」
「オットー待て! まだ吐くな、宿取ってやるから!」
トウガとトビアスに左右から肩を貸されて、オットーはこくこくと小さく頷いた。
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