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「側近の方が……自ら進んで掃除までなさるんですか」
ツカサの片手にハタキが握られていたために、トウガが思わずそう漏らした。そういや、オットー達は何をしに来たのかと言いかけたツカサは、トウガの顔を見て、数秒、固まった。
「……」
「……」
「……」
「おれの顔、やっぱり父に似てますか……」
「父?」
「一応、初めまして、ですよね。トウガです。今日は国王陛下にお話がありまして、ここまでお邪魔しました」
「ああ……」
ツカサはあまり多弁な方ではないらしい。トウガの背格好を上から下まで眺めてから、なるほど、と呟いた。
「……まあ、厳密には『初めまして』じゃないよ。おれたち側近、三人とも」
「えっ」
「君、子どもだったからね。記憶はないかもしれないけど」
ツカサがトウガに敬語を使わなかったため、モールが少し渋い顔をしたが、ツカサはこれで良いんだと軽くあしらう。
「多分、ここで敬語を使わなくても、タツキさんは気にしないだろ」
「そうですね、おそらく。父自身は、敬語が苦手でしたし」
「おれも君の父さんに世話になったクチだ。ここに来たってことは、王のアポを取り付けるまでちょっと待つよう、モールに言われたってことだろ。でも、モールも戻ったならまだ作業がある。おれが掛け合ってくるから、ちょっと待ってな」
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