第1章 出会いまで

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それからも、智樹くんとの付き合いは 順調だったと、いいたいところだが…… 順調……というのは、表向きなところ 私は……これから起こりうるであろう ことに、向かい合うことができなかった 私が初めて男の人と付き合っているから 智樹くんは、ゆっくり進めてくれている だけど、覚悟ができなかった 初めてのディープキスも、不快でしかなかった 夏前に、ホテルに行ったが 全く濡れず、最後まではできなかった その後も何度かホテルに行ったが 結果は同じ だから、姉夫婦から同居の話が出た お盆休みの頃は、智樹くんとの仲が ギクシャクしはじめていた 『別れよう……』 そう言われたのは、9月の終わり 『……うん……あの……ごめんね』 『俺が悪いんだよ 自分の気持ちばかりで、真琴ちゃんの気持ちを 置き去りにしてきたと思う』 『そんなこと……ないよ』 『真琴ちゃんはさ……俺のこと好きだった?』 智樹くんの最後の言葉に 私は何も、答えることができなかった
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