白に溶ける

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おじさんの言葉に息を飲んだ。でも、何処かで分かっていたんだ、ただ自分がそれを直視しなかっただけで。だって、彼女が着ていたのはワンピースなんかじゃない。あれは。あの、白い服は、病衣だ。 「そう。ですか」 胸が詰まってそれしか声が出なかった。 自宅に帰ってジャケットをハンガーにかけるために広げた。ボタンが目に入った。黒だったはずのボタンが花の形をしたボタンに変わっていた。頬にひとつ涙が伝った。
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