白に溶ける

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そういう俺に彼女はくすくす笑った。へんなおにいさん。だって。俺から見れば彼女のほうがほよど変だ。 「でもありがとう。とっても暖かいわ」 ぎゅっと抱きしめるようにジャケットを握って、嬉しそうに笑った。 「それ貸すよ。また会う時があったら返して」 彼女はおにいさんがそれじゃあ寒いんじゃないの?と聞いてきたけれど、彼女のワンピースに比べれば今の状態でも重装備なくらいだ。俺は大丈夫。と言って公園を出て行く、あまりのんびりもしていられない。俺はこれからバイトがあるのだ。少女はいってらっしゃい。と小さな手を振って見送ってくれた。 すっかり日も暮れてバイトが終わった帰り道、少女はそこには居なかった。そりゃあそんな長時間は居られないだろう。ベンチは真っ白に染まっていてジャケットは見当たらない、あのジャケットは気に入っていたのだが。まあいい、ジャケットならまた買えばいい。あの時貸さなかったほうがよほど後味が悪い、少し気になって公園の中へと入ってみる、真冬の公園にぼんやりとした街頭。滑り台の象は笑っているけれど物悲しい印象だった。「帰るか」独り言をぽつりともらして帰宅すため公園を出た。静かな静かな雪、また明日も雪だ。     
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