白に溶ける

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次の日のバイト道。かくしてまた、その少女はいた。俺が貸した緑のジャケットを羽織って雪玉を転がして。 「よう」 声をかけると少女がぱっと顔をあげ嬉しそうに微笑んだ。こんなに無防備でいいのだろうか、年齢はそんなに幼くなく、中学生ぐらいだと思う。なのに中身がとても幼い。あまりにもアンバランス。 「こんにちは、おにいさん」 昨日と同じ挨拶をした。 「上着ありがとう、今日も会えたから返すね」 そう言うなりジャケットを脱いだ、ジャケットを脱いでしまうと着ているのは出会ったときと同じワンピース1枚になってしまった。 「あー…、まだ貸しておいてやるよ」 これでは意味がない。少女はきょとんとしながらも、そうなの?とまただぼだぼのジャケットを羽織る。 「雪だるまを作っていたのか?」 「そうなの。うんとうんと大きなのを作って、この公園に来た人を驚かせてやるのよ」 にこにこ笑いながら雪だまを掌で叩く。その手には手袋も嵌められていなかった。 「素手でやったら痛くなるぞ」 雪玉を触っている手をやんわりと取ると、嫌がることなく大人しく俺に掌を見せる形になった。思った通りその手は霜焼けで真っ赤に染まっていた。 「うんん。あたし痛くなかったのよ?」 「見ている俺が痛いんだ」     
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