白に溶ける

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白に溶ける

粉雪が舞う、真っ白の新雪の上を少女が舞う、くるりくるりと楽しそうに笑いながら。雪の中に解けてしまいそうな女の子だった、透き通った白い肌、真冬にも関わらず真っ白のワンピースを広げる。異常で、異様で、それゆえに美しい光景だった。いつものバイトへの道、異世界に迷い込んでしまったかのような不思議な感覚が襲った。誰もいない公園、子どもに遊ばれるために存在している遊具は白に染まり沈黙している。じっと見ていたら俺の視線に気づいた少女の動きが止まった。じっと見つめてしまったことを失礼だったと後悔する俺に向けて、柔らかく微笑んだ。 「こんにちは、おにいさん」 人を疑うことを知らない無邪気な笑み。挨拶に応えるために何時もはただ通り過ぎるだけの公園に足を踏み入れた、どれほどの時間少女はここにいたのだろう。足元は雪が積もり、少女の周辺にしか足跡がない。分厚いジャケットを脱ぎ、きょとんとしている少女の肩にそれをかけてやった。 「寒いだろ」 少女には大きすぎる緑のジャケット、白くて小さな少女に不似合いなそれ。 「うんん。あたし寒くなかったのよ?」 「じゃあ、見ている俺が寒かったんだ」     
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