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そこからは他愛のない話を続け、結局暗くなってやっと健太は帰る気になった。
「じゃ、ちゃんと挨拶してこいよ」
「そんなの分かってるよ」
「またな」
またなんてあるんだろうか…ー
気を取り直し上下左右の住人へ挨拶に向かう。
最後に右側の住人が住む部屋の呼び鈴を鳴らし、手土産を用意する。
『ガチャ』っと鍵が空き目線を上げようとした瞬間腕を掴まれ暗い部屋へと連れ込まれドアに押し付けられる。
「なっ…」
声を出そうとしたら口を塞がれ股のあいだに足を滑り込ませてきて身動きが取れない。
ヤバイと思った瞬間
「挨拶はすんだか?」と聞き覚えのある声がした。
は?頭が追いつかない。
口から手が離れ今度は柔らかい、多分唇が押し付けられる。
「ちょっ、待てって…んっ」
「可愛いよ、悠里」
暗闇に目が慣れてきて相手の顔がぼんやりと浮かび上がって来る。
「…どういう事?健太」
「どういうって、そういう事」クスッと笑いながら僕から離れ、パチっと電気をつける。
やられた…ーーーーー
僕が引っ越して来た部屋は健太の隣の部屋だと理解した。
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