父の手

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「パパ!」 幼い頃は、そう叫ぶといつも歩みを止めて、振り向いて笑ってくれた。 そっと握った父の手は、大きくて、厚みがあって、肌はがさがさしていて硬くて、何より温かかった。 仕事が忙しくてあまり家にいなかったけれど、たまに手を繋いで歩くだけでも嬉しくて、何をしても怒らず優しい父が大好きだった。
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