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階段を上がると商店街のようなものが続き、人混みを掻き分け、しばらく歩くと大きな建物が見えてきた。
「ねー母ちゃん、なんで王宮の方面へ行くの?」
「王宮にレヴィアを紹介しにいくんだよ。」
「…疲れた」
「ほら!あと少しだから…なんならおんぶしてやるよ」
途中駄々をこねるレミエルだがラミエルがなだめておんぶしてあげていた。母は少し微笑ましげに笑うと、また歩き出した。
またしばらく歩くと、王宮の入り口に辿り着いた。流石は王宮とだけあって建物の作りも大きさも格段と良い。門の前には男の兵士が二人立ちはだかっている。
「いい?あんた達静かにしてるんだよ?」
「うん」
「…わかった」
「名乗れ。」
「ナタリア…。南区、漁師レオンの妻です。」
「何用だ」
「この子を…赤子を国民登録して頂きたく存じます。フェルス大臣はお見えでしょうか?」
「…通れ。おい、ここは私が見ておく。案内を」
「はっ」
片方の男が一人にそういうと王宮の中へと通された。
無言で兵士に付いていくと、階段も周りも赤い高貴そうな絨毯がひかれており、壁の上の隅にはこの国の紋章だろうか、大きな翼で今にも羽ばたきそうな梟が金色で描かれている。階段を上がると、曲がってすぐの大きな扉の前で止まった。
兵士がノックをするとしわがれた男の声が聞こえてきた。
「なんだ」
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