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「お忙しいところ申し訳ございません、レオンの妻、ナタリアが赤子の国民登録をして欲しいと申しておりまして…」
「入れ」
「はっ!失礼します!」
重たさそうな扉を開けるとそこには白髪のふくよかな男が椅子に座って、机に頬杖を付き座っていた。
「お前は戸の外で待っておれ」
「はっ失礼します」
「失礼します。ご紹介に預かりました。南区、レオンの妻、ナタリアです。本日は…」
「あー堅苦しい!よいよい!」
「…相変わらずだね。爺さん、たまには大臣らしくしたらどうだい」
「お前も相変わらずだなナタリア。少しは女らしくしたらどうだ?」
「ははっお互い様だね!」
「えっ…母ちゃん知り合いなの??」
「あぁ…私の爺ちゃんさ。と言っても、あんた達と同じ、あたしも拾われ子だから実のじゃないけどね。」
「へぇ?…。」
「こんにちは!おじいさん!」
「はいこんにちは。元気く挨拶できて偉いね。飴をあげよう。」
「…ずるい」
「お嬢ちゃんの分もあるから、喧嘩しちゃいかんよ」
「他愛のないのはその辺にして、本題だ。この子の…レヴィアの国民登録をしてもらいたいんだが…」
「…それは無理だ。」
「は!?」
「いいか、よく聞けナタリア。今この国は狂い始めている。」
「?いつもと何も変わらないぞ?街も人も…」
「…そうだな。だがそれは、今はまだ目に見えていないだけだなんだ。」
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