第三章 不吉な訪問者

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母は一度リリアナの事を思ってか王宮勤めと聞いて不安げな顔をした。 「これまで生徒には卒業しても選ぶ権利というものがあった。王宮勤めしなくとも良い権利がな。」 「これまでは…?」 「近年、大きな戦争が起こるやもしれん。」 「せっ…戦争!?」 「…落ち着かぬか。まだ推測だが、最近やけに強い兵士を王が求めていてな、兵士統括大臣も王の命に答えようとしていて、今年卒業する子供数人に王宮勤めを強要しているらしい。」 「なっ、それって…!」 「私もそれは民の人権を侵害しておると思った。世の情勢も崩す事になるからやめるように、環境大臣と共に言ったさ。だが奴は聞き入れる様子は毛頭ない…。王がどこと戦争しようとしているのかは検討もつかん…。一体この国にこれ以上何を求めるというのかもな。…頼むナタリア。今学生の子供も連れてこの国から逃げてくれ。」 「に、逃げろ…?亡命しろってことかい?」     
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