第三章 不吉な訪問者

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その答えを聞いてどこか安心したような顔をしたフェルスはさあもうお帰りと言って双子を呼ぶよう諭した。心なしか私をやけに見つめているような気がした。扉を出る時見た彼の表情は穏やかで儚い笑顔だった。  王宮を出ると、母は商店街で少量の買い物をして自宅へとズンズン歩いていく。どこか顔付きに元気がないことに気づいたのは双子もそうなのだろう。心配そうに顔を覗き込んでいたが、母は何でもないと誤魔化すだけだった。 その日の夜、双子を寝かしつけたあと狸寝入りを決め込んだレヴィアの耳に、リビングで両親の会話している声がボソボソとだが聞こえてきた。 母の声は今にも泣き出しそうにも聞こえた。父はあまりのショックに話を聞いて項垂れているのだろう。長女、リリアナも卒業後はどうなるかもわかったものではない。様々な不安が飛び交っているのは雰囲気だけでも感じ取れた。あまり話さない父が何か言いかけた時だった。玄関の戸がノックされ、ドアを開けたのだろう。そして男の大きくて低い声が響いた。 「夜分に失礼する。レオン、ナタリアご夫妻のご自宅で間違いありませんな?私は兵士統括大臣のゼウスと申す者でしてな、大事な話があるため、少しばかり邪魔させてもらう。…もってこい。」 近くに居るであろう兵士に言ったのか、その言葉の直後、ほんのり鉄の臭いがした。その瞬間、母の泣き声が家を包んだ。
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