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第四章 因果応報
母の悲鳴で双子もリリアナも起きてきたのだろう、ドタドタと足音がする。
「来るな!お前ら!」
父が大きな声でそう言ったが、遅かったらしい。ドアを開ける音がした直後、悲鳴や泣き声が入り交じる。そこに不釣り合いな感情の籠もらない声で
「晒し首にするのでな、首はないが…。お気づきかと思うが、フェルス元大臣のご遺体だ。身元の引き取り人は他に居ないと聞いていたのでこちらに。」
「何故…なぜこのようなことを!」
「これはこれは、リリアナ。それは君がよくご存知ではないのかね?」
「え…?」
「おや…その様子だとどうやら何も知らないのか。フェルス元大臣は国の反逆罪で処刑されたのだよ。」
「そんなっ!嘘です!フェルス大臣は国を愛されていました!反逆だなんて…」
「やめてください!…あたしから……あたしから話します…もう、それ以上は…」
「母さん…?」
「…よろしい。それと、赤子の国民登録許可証になります。…では我々は帰るとしよう。今後どうされるのかも…よく話し合われるんですな」
嫌味のこもった口調でまくし立てた男が家を出ていくと、異臭のするようになった家の中にしばらくの沈黙が訪れた。
「…母さん、父さん」
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