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適当に時間を潰して頃合いを見て帰ろう。そう思って近くの本屋に立ち寄った。ひんやりとした空気に包まれ少し気持ちが落ち着く。品出しをする店員と、新人らしき少女に教育している店員が忙しなく動いている。ふと、新作の本が並べられた棚の近くに貼ってある一枚のポスターに目が止まる。
"新人作家大募集!あなたの物語を共有しませんか?"
の文字。当時まるで有名でなかったが、某ファンタジー小説を初めて売り出した会社の名前だった。
私はその小説を読んでとてつもなく感動した。自分もこんな小説を書きたい、と本気で思ったのだ。二年間何度も応募するも全て没だった。
認めてもらえたのなら働け働けと言われなくても済んだのにな…。などと思いながら近くにあった本を手に取り読み耽っていた。
そうしてから時間は結構経って居たのだろうか、店員が近くに来ることが増えた。少しばかり申し訳なくなって、棚に本を戻し、店を出た。一気に蒸し暑くなり、溜息をつく。
そういえば今は何時だろうか?スマホで時間を見ると、16時32分、急がないと17時からのアニメに間に合わなくなってしまう。早足で元来た道を急ぐ、押しボタン式の信号機でボタンを押して、信号待ちをしていて時間が気になり、スマホを取り出す。16時45分、しまったいよいよ本当に時間がない。
早く変わらないかと信号を睨むと同時にすぐ近くからキイイイイイイイッという音が聞こえて、音のした方を向いた、次の瞬間見たものはトラックが自分の方向へ横転してくるところだった。
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