第四章 因果応報

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「父さん、教科書に書いてあったのだけど、反逆罪で処刑された場合首は晒し首だけど、首から下は遺族に通常返さないらしいの。大抵燃やしたり、崖下に落としたりするそうなのよ。ここで私が逃げればラミエル、レミエル、レヴィアまで強制的に王宮に就かされる事になると思うの。」 「…姉ちゃんいなくなっちゃうの?」 「…そうね。お姉ちゃんね、でも前々からこの国を愛してなかった訳じゃないのよ…。だから、少し事情が変わっただけ。まだ卒業まで時間もあるし。それにお休みの日には帰ってくるわ」 その声を聞いて心苦しくなったレヴィアはわざと泣き声を上げて少しでも場の空気を変えようと試みた。 「んぇっ…んぎゃああぁぁ」 「レヴィアが起きちゃったみたい…あたし行ってくるね」 「うん」 そうしてレヴィアを宥めに来た母のかなしげな顔を見ることもなかなか辛かった。笑顔なんて作れる状況ではないだろうに。もしもレヴィアが今言葉を発する事ができれば何か励ましの言葉の一つでも掛けられたのだろうか?もしかしたら、フェルス元大臣の処刑をも止められたのではないだろうか?そんな考えたところで分かるわけではない事でも考え込んだ。もう何度目か、レヴィアは自分の転生姿を少しばかり恨めしく思った。  物悲しい夜は明け、朝がきた。だが、朝だというのに空はまるでレヴィアの心を映し出す鏡のようだ。曇っていて薄暗い海の見える方角へと家族全員でフェルス元大臣の埋葬を行った。     
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