第二章 異世界への入り口

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第二章 異世界への入り口

 人は死んだらどうなるのだろうか?そんな風に考えたことは何度かある。よく聞くのは三途の川を渡って閻魔様に天国か地獄かを決めてもらうとかなんとか…。ぼんやりする意識の中で目をあけると、そこは川ではない、海だった。小舟に乗せられているが、船にはオールもなく、近くに陸もない。 どういうわけか起き上がることはできず、横と正面くらいしか見えはしない。ふと自分の手に目が行く、まさかと思い二度見すると、どうやら見間違いではない。小さく丸まったぽっちゃりとした手、紛れもない赤子の手になっているのだ。  死んだ、のはわかった。だけどどうしてもわからないのが、小舟に乗っていて、それも赤ちゃんになっていて、近くに大人が一人もいないのはどういう事だろうか。……いや、そもそも"何故自分は死んでしまった"のだろうか、そして自分は誰で、"以前自分は誰だったのか"すら思い出せなかったのだ。"死して生まれ変わった"事しかわからないのだ。 天気がほんのり変わりつつある。段々雲行きが怪しくなってきている、風も少し出始めた。 「んっ…うぎゃあああ!!!」 助けを呼びたいが赤子では泣くことしかできない。数分程大声で泣いてみても、付近には陸も船もないのだろうか、ひたすら波のさざめく音が聞こえるだけだ。  ふと、頬に冷たい水滴が触れた。初めは自分の唾かと思った、いや正しくはそうであってほしかったが、そうはいかないようだ。 一滴、二滴、三滴…数えれる程の雨粒は、すぐに数えきれなくなった。これはまずいとひたすら泣き続けた。途中何度か雨粒が入り咽返った、それでも泣くのをやめてはおそらく死んでしまう。必死に泣き続けているとどこからか人の声がした、正直この時は幻聴でも聞こえてきたかと思ったが、藁にもすがる思いで泣き続けた。 「おい!あそこに赤子がいるぞ!」 そう聞こえたのは意識が遠のいていたその時だった。  
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