第三章 不吉な訪問者

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この頃から王様はおかしくなってゆきました。つまの亡骸を蘇生させる為と言い張り、埋葬を拒み、国の医者を捕まえてきては、蘇生させるよう命じるようになったのです。 できないと拒もうとした医者や、遺体の腐敗が進むと発言した身内の者をも殺させるようになったのです。 これを知った末の娘は大層に怖がり、震えました。 そんな妹を見た一番上の兄は怖がる妹のためにと、父である王に綺麗なまま眠らせてあげてほしいと頼み込みに行きました。 その晩、兄は王の家臣により殺されてしまいました。 それを知った二番目の兄は恐れおののき、王宮を逃げ出しそのまま行方知れずとなりました。 一人になってしまった末の娘は一人、国の崩壊と、変わり果てた父を思い、隣国の若き王に王を止めるてもらうよう懇願しました。 その娘の美しさに一目で恋に落ちた若き王は、娘の国の王を止める代わりに結婚を申し込んだのです。 娘はそれを受け入れました。 そして王を止めるため、若き王の兵士と、娘の国の民達をも集め、王宮に乗り込み、王に説得を試みましたが、王は隣国の王や民衆に事態を話してしまったことや、止めようとしていることに腹を立て、王自らの手で自分の娘を殺そうとしました。 娘を守るためにと抗った若き王は誤って王を殺してしまいました。 その後、王と王妃は丁重に埋葬されました。     
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