陽だまりの先の笑顔

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 ぽむ、という優しい音で微睡んでいた私の意識は呼び起こされた。    まだ柔らかなわた雲に包まれたような頭のままゆっくりと辺りを見回す。柔らかな西陽差す特別教室には秋の穏やかなぬくもりが満ちている。なぜか部屋にはコチ…………コチ…………とゆったりと時を刻むメトロノームの音だけが静かに響いている。ロの字型に置かれた長机、黒板の前の大きなホワイトボードには斜めに影が映っていた。そうだ、ここは生徒会室だ。  部屋には私以外に一人。だが、窓際に立っていて逆光のせいでそれが誰だかよくわからない。生徒会長か、副会長か、私と同じ書記の誰かだろう。
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