ぬくもりと心

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ぬくもりと心

 お気に入りの青い模様が入ったマグカップ。  その中からふわりと湯気と共にカカオの香りが広がる。  ちょっとほろ苦く甘いココア。  木の葉が散るこの季節にはありがたい。  冷えた指先はマグカップを撫で、じんわりとその温もりが指先へ伝わってくる。  手で覆ったそれを傾け、ひと口飲む。  そうすると少し熱くとろみのある茶色い液体が、口から舌の上を転がり喉へ落ちていく。  私の胸がじんわりと温かくなっていく。    この幸せは、温もりのせいか……匂いのせいか。  それとも肩を寄せ合いひざ掛けをともに使い、ともにココアを飲む恋人の存在のおかげなのか。  もしかしたら、全てがあるからこそ心まで温もりに包まれるのかもしれない。  幸せってこんな感じかしら?  ずっと続いて欲しい。  そう思うとなぜか、瞳からひと粒の涙がココアに落ちた。  
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