タンデム掃除機

電池掃除機

5/27金　さっそく分解を始めた。いうなれば、掃除機の仕組みの解明みたいなものだ。ステッカーの警告文なんて、ようは感電したり怪我をしない為。注意しながらやれば大丈夫だろう。　

5/28土　苦労してカバーをはずした割には、モーターと配線があるだけで拍子抜けした。ただ中には黒い箱のような物があって、こいつにはどこにも継ぎ目とかビス止めが一切ない。電源を切っているにもかかわらず、黒い箱の中からかさかさ音がする。ゴキブリが何匹も暴れているみたいな音がして気味が悪すぎ。悦楽の正体がゴキブリだとしたらゾッとする（笑）

5/29日　早朝に掃除機内部から異音が発生した。人が苦しんでいるというか金属のこすれる音とういうか、不気味だ。もっともその音は短時間で消えた。きょうは彼女（掃除機）と遊ぶのは止めようと思う。

5/30月　彼女のご機嫌をうかがってみた。いつもと違う強い愛撫を受けた。吸い込まれそうな快楽だ。まるで本物の女としているみたいだ。

6/2木　掃除機のステッカーが剥がれかかっていたので、何の気なしにめくってみた。おどろいたね、　赤黒のペンで、壊せ！潰せ！死ね！と書いてある。
いや、ペンじゃなくて血痕かもしれない。ルミノールキットがあればはっきりするだろう。前の持ち主が廃棄するとき、ステッカーを上から貼りつけたのだろうか。

6/3金　彼女は生きている。会社から帰ったら、50センチくらい移動した形跡があった。

6/4土　朝から彼女に抱かれている。数えきれない手指に愛撫されているみたいだ。おれも彼女への欲求が昂ぶって我慢できない。

6/5日　彼女を見た・・・闇に潜んでいる幽霊？　美人か思ったが醜悪のかたまり・・・表現のしようがない・・・おれはあんなのに夢中になっていたのか

6/6月　彼女は眼に見えないけど確かにそこにいる。迫ってくる、拒めない。信じられないだろうが、掃除機は何もしなくても自動的に起動してしまう。掃除機から出たそれはおれと合体する、そんなあんばいだ。今度、友達に相談しよう。彼が協力してくれればいいのだが。

6/7火　おれは＜彼女＞の虜になってしまった。彼女は不気味だが離れられない。掃除機の正体は何だ？　前の持ち主が行方不明になった事と関係ありそうだ。嫌な予感がする。調べてみよう。

6/8水　万が一のことを考えて、五十嵐宛に書留を送った。彼がもしここに来るようなことがあれば、それは本当にヤバい！