魔女の裁縫セット。

森の奥。

そして直ぐに魔女はその作業に取り掛かる。先程買ってきた小さな箱には、綺麗に折りたたまれた大きな黒がメインのワンピースを広げて呪文を唱えた。
｢コマンド、魔法を選択。浮遊。｣
魔女がそういえば手に持った大きなワンピースはふよふよと宙に浮く。そしてそのあと手を離しさらに呪文を唱える。
｢コマンド、魔法を選択。対象物移動、黒いワンピースをトルソーへ。｣
宙に浮いたワンピースはゆっくりと自分からトルソーに綺麗に入る。しっかりと裾まで伸びるとワンピースの全体図がよく見える。シンプルイズベストの真っ黒なワンピース。ヒラヒラとした眺めの裾に長袖。綺麗だなと思いながら私はワンピースを見ていた。それを見たミレアドさんは微笑みながら私を手招きした。
｢師匠の魔法は凄いのよ、よく見てて？｣
そう言いながらも彼女の視線はしっかりと魔女の指先を捉えてた。
｢コマンド。アイテムを選択、光の糸。｣
そう魔女が言うとどこからともなく金色に輝く糸が出てきて魔女の腕に余裕を持つように絡む。