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そうして大々的な婚約発表が行われ、彼女たち二人は正式な婚約者となりました。
毎月一度、彼とお茶をすることが日課となり、いろいろなお話をします。
お互いあの時のあの約束を覚えているようですが、話題には上がりませんでした。
王子となる彼には国を出て旅をすることなど不可能と知っていたからでしょうか。
もう幼い頃のようにお互い無知ではない二人は・・・
王子はこの国を治めるため、彼女はそれをサポートしていかなければならない役割を理解していたでしょう。
そして彼女が12歳になったある日、父が新しい母を連れ帰ってきました。
新しい母親には子供がいて、彼女に妹ができました。
妹は美しい淡いピンク色の長い髪に、赤い瞳が特徴的な可愛らしい少女です。
初の顔合わせの時、ニッコリと笑った姿がとても愛らしいく、彼女はつい見惚れてしまいました。
しかし彼女は新しい母を簡単に受け入れられず、その時ニッコリと微笑み返す事はできませんでした。
そんな心境の中、父と新しいお母様の幸せそうな姿を見ていく内に、彼女の心はモヤモヤしましたが、ぐっとこらえると、新しい母を受け入れることにしました。
彼女は妹と交流を図るべく、妹に積極的に話しかけようとしましたが・・・
妹はなぜか彼女が近くによると突然泣き出し、新しいお母様へ虐められたと泣きつくのです。
あるときは物を投げられた、またある時はひどい言葉を言われたと・・・。
私にはただ傍に寄っただけなのに・・・どうして・・・。
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