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そしてある日、妹は彼女に大切なブローチを取られたと父に訴えました。
彼女にはまったく覚えがないはずなのに、なぜか彼女の部屋からそのブローチが見つかりました。
もう意味がわかりません。
このままこの家に居ることはまずい・・・と感じた彼女は父の書斎へ駆け込みました。
「お父様、私を隣国へ留学させてください。学園に通う年になれば戻ると約束します。だからどうかお願いしますわ・・・」
彼女の只ならぬ様子に、婚約者の王子と連絡を取りつづける事を条件に、渋々といった様子で頷いてくれました。
彼女は深く頷くとすぐに部屋へと向かい、留学する準備を始めます。
隣国への留学が決まると、妹は難しい顔をしていました。
「あれ、変ね。過去の回想シーンで、あいつが隣国にいったなんてストーリーはなかったはずなんだけど・・・」
うんうんと唸る妹を横目に、彼女はいそいそと家をでる準備を進めました。
そして翌日、王子に隣国へ行くことを伝えました。
彼女が隣国へいく前日、王子は彼女を連れて、あの黄色の花が咲き誇っていた花畑へと足を運びました
しかし黄色の花はまだ咲いておらず、あの時のような風景は見ることができませんでした。
王子と彼女は並ぶ様に寂しい花畑を眺めていると、
「ねぇ・・・どうして隣国に行ってしまうの?」
本当の事を話す気になれない彼女は、暗い表情を浮かべると、
「・・・・王妃になった時、あなたの力になりたいから」
王子は寂しそうな表情を見せると、彼女の手を取り、優しい口づけをしました。
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