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「と、いうわけでやって参りました!どうも、皆様お馴染み、サカッキーと愉快なオカルト研究会の仲間達でお送りしておりまーす!」
「ちょっとさっくんひっどい!それじゃあたし達がさっくんのオマケみたいじゃないのー!」
「え、違うの?オマケだよな?」
「ちーがーいーまーすー!」
廃墟を前にしているとは思えぬほど、明るい笑い声が響き渡る。サカッキーこと、坂井恵司の肩をぽこぽこと笑いながら叩くのは、マナミンこと浅田真理子である。いつもノリのいい自分達のやり取りを、カメラを回して見ている眼鏡の長身がリコこと陸見恭輔。その恭輔の隣でくすくす笑っている派手な長い茶髪の女性がナナこと三井那美だ。
自分達は全員、とある大学のオカルト研究会に所属している。といっても、ほとんどオカルトスポットを撮影しながら遊び回っているだけの同好会だったが。最近は、恵司がサカッキーという名前でユーチューバーデビューし、その動画をみんなで盛り上げる、というのがほぼほぼメインの活動内容になっていた。
絶対入るな!と呼ばれている有名なオカルトスポットががんがん踏み込み撮影していった結果、いつの間にやら動画は最大で十万再生を越えるまでになっている。今のところ怪異らしい怪異に見舞われたことはないものの、自分達のオカルト研究会らしくない明るさとリアクションが、動画視聴者には大いにウケているらしい。まあ、それはメンバーの顔面偏差値がそこそこ高いというのもあるだろうが。――自慢ではないが恵司は高校時代、ミスターコンテストの最終候補に残ったことがある。そして、現在付き合っているカノジョである真理子も、別の高校でミスコンの候補に残ったくらいの美人だ。
あとの二人だって全然悪い見た目じゃない。あまり画面に映ることのない、基本的にカメラマンに徹することの多い恭輔も地味な印象だが充分顔立ちは整っているし、逆に那美は化粧と髪色が少々派手でケバいがその分スタイルは申し分ない。
アイドルでもやってそうな四人組のオカルト探索チーム!勇気ある調査結果をお届け!――そんな名目で、今日も自分達の動画は大盛況だ。たまに不謹慎だ、なんて言う面等な輩も沸くけれど、そんなものは無視である。残念ながら幽霊なんてものはこの世にいないらしい。いたらとっくに呪われているはずの自分達が無事なのだから、つまりそういうことなのだろう。
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