無限のキャンバス

2/3
前へ
/3ページ
次へ
「白い所なら何でも好きに描いていいからね」 「ほんとに!」  奈央は目を輝かせて、廊下一面に敷いた白い紙の上で飛び跳ねた。  スケッチブックではなく、ジャンボタイプの画用紙を選んだ所がミソだ。インターネットでサランラップのようなメートル巻の画用紙を見つけた時、これだと思った。あとはクレヨンやマジックペンを渡してあげれば準備完了。奈央はさっそく画用紙に向かってガリガリ描き始めた。私が名前を呼んでも『んー』としか言わず目はずっと紙の上だ。  そう、イタズラに替わる新しい遊びを与えてあげれば良いという訳だ。これを上手く応用すれば公園のギャングたちも壊滅させることが出来るだろう。ふふ、我ながら完璧なアイディア。  奈央も所詮(しょせん)は子供だ。この家の食物連鎖(しょくもつれんさ)の頂点はまだまだ私です。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加