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しゃく、しゃく、しゃく、と音がなる。
どこから聞こえるのかわからない。
でも確かに聞こえる。
自分以外には聞こえないと思っていたら、友人にも聞こえていた。
友人は自分より少し前から聞こえ始めたと言っていた。
気がつくと、聞こえる。
気にも止めない音がする。
「ねぇ、知ってる?……○○さん消えちゃった話」
「え、なにそれ……」
「なんか、音が聞こえるって言いはじめてから2週間目かな?一緒に帰ってたこが言ってたんだけど……
帰り道にいきなり『あ、音が消えた』って喜んでたんだって。でもね、その日○○さん家に帰らなかったの……」
噂話だと思って聞き流そうとしてできなかった。
「私も詳しくは知らないんだけど、でも、帰り道に大きな赤い水溜まりがあったって聞いたわ」
ゾクリと背筋が粟立った。
「脅かさないでよ……」
「あら、本当に聞いたのよ?」
むくれる少女と別れて一人歩く。
しゃく、しゃく、と音がする。
もしも、この音が聞こえなくなったとき……
自分も消えてしまうのだろうか……
なんて、噂話に囚われないように首をふった。
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