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収集癖は数あれど
「き、気持ち悪いんだよ!」
「ごめん、僕には理解できないや・・」
今までの元彼ったらもう全然駄目。私の趣味をまるでわかってくれないんだから。
なんでかしら。どうしてなのかしら。
誰にだってちょっとしたこだわりってあるじゃない?私のはそりゃあ、ちょっとは特殊かもしれないけれど。
そう嘆きながら、コレクションの一つを取り出し、ふっと息を吹きかけた。
「それ」は宙を舞い、まもなくして吸い込まれるように近くにある熊のぬいぐるみの方に流れた。
うん。やっぱりこの子はここが似合う。
と、突然背後から温かみを感じる柔らかな声がした。
「満足げに眺めているところ悪いけど、勝手に上がらせてもらったよ、ユキ。」
「おかえり、スグル!」
一緒に住んでいないのにおかえりはおかしかっただろうか。愛しい人の予期せぬ来訪に嬉しさがこみ上げて、思わず思い切り抱きついてしまった。そのせいか、スグルは少しよろめき困ったように笑う。
ああ、その顔も素敵。私の現在の彼氏、水上スグルはとっても優しく、そして私の趣味にも理解がある。運命の人だなんて思っちゃったりして、ふふ。
「また、コレクションの手入れ?」
「そ。この子にぴったりの器を見つけたの。」
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