第五章 親離れ

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第五章 親離れ

限界だったそんな頃、ミナコにだけやんわりと母の話をした。恥ずかしさもあり惨めさもあり、曖昧な感じで話したが、ミナコは話をただ聞いてくれた。 ミナコは母子家庭のわたしたちにとても良くしてくれた。辛いときはいつもミナコがいた。 いろんな愚痴をミナコは聞いてくれた。わたしの姉のような存在だった。 母は「友達なんかいつかは裏切る。親しかおらんのよ」そう呪文のように言ったが、わたしはミナコに頼りたくなった。ミナコを心の底から信頼してみようと決めたのだ。 ミナコとも共通友人であるミオの存在もそこにはあった。 ある日3人でご飯を食べているとき、恥ずかしい話もダサイ話も二人は表情を変えず赤裸々に笑いながら話していた。 姉妹、幼なじみさえもいないわたしにとって、この空間はとても不思議なものだった。 年が近い友人が、色々な話を当たり前に赤裸々に話ている。 わたしは大人になるにつれ極度な見栄張りになっていたのだ。中学の頃の虐めの経験から、人の目を凄く気にするようになり、恥ずかしい自分を見られる事知られることが嫌だった。 だから、友達にも親のことは何も言わず、相談なんて出来るわけがなかった。 二人はその後も、面倒くさいわたしの話に付き合い、笑い、わたしを心配してくれた。 彼女たちの存在で、わたし母から離れられる気がした。
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