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第三章 毒親からの子離れ
メル友が流行る。
適当な番号からメールが届く。住んでる県、性別、年くらいしかわからない相手と短文だけのやりとりをする
「会いたい」なんてまずない。電話もしない。完全な疑似恋愛だ。
わたしにもそんな相手が出来た。
他県の同じ年の男子だ。
相手にわたしの容姿はわからない。写メなんてない時代。
「かわいい」「すきだよ」文章だけなのに、こんな言葉を男子から聞いたことがないわたし(声も聞いてないから男子かも不明だが)初めて味わったこの感覚にわたしは何とも言えない幸せを感じた。
それから何ヵ月か過ぎ、卒業してからもやり取りを続けていたエリから彼氏が出来た!と連絡が入る。
衝撃だった。今思うと妬みだ。
当時支流になってきた最新携帯…写メだ。
彼とエリの写真があった。
自分は疑似恋愛にうつつを抜かしているだけの間抜けだ。
エリから届いた年賀状には、「彼が医者になるみたいだから、わたしは看護師目指す!」と書かれていた。
元々介護福祉士を志願してこの高校に来た訳ではないのに、医療従事者を志し真剣に勉強しているわけではないじゃないのに…妬みや嫉妬から
「そんな安易な理由だけで命を預かる仕事に携わるなんて簡単に言わないで。」そうハガキに書いて送った。
八つ当たりだ。エリとのやりとりは薄れていく。
わたしが一方的に避けたのかもしれない。
一方母はPHSを持ち始め、部屋にこもりがちになったわたしを見て「あんたは変わった!」とよく罵倒した。
母を相手にしなくなったのが気にくわなかったのだろう。
母が泥酔していつもの強い当たりをしても、疑似恋愛に若干癒されていたわたしは少し心に余裕が出来ていた。
心のよりどころになっていた。
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