第三章 毒親からの子離れ

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高校2年の春。そう、出会い系で彼氏ができたのだ。 デブなわたしでも彼氏ができる。出会い系とはそれだけ出会いを求めた男女が多いのだ。 今のように大きなサイズも主流ではない。 コーディネートはいつも参った。 せっかく彼氏ができても、街に出ると周りの人に陰口を言われている気がして。ご飯屋さんに行っても「こんなに食べるの?」と思われたくなくて「お腹が空いてない」と外で彼氏と食事したことも数回しかないのだ。 誰かの目を避けるように。 川岸に座り川岸の横のビルの建設を眺めながら話すのがいつもデートだった。 彼は年上だったので、夜になると父親から車を借りドライブに連れ出してくれるのだ。 人目を気にせず二人だけの空間。 それが1番の幸せだった。 夜中両親が寝静まる頃(うちは両親の就寝が早いのが幸い) 布団にはダミー(膨らみ)を被せ、1階だったためベランダから飛び降りる。 団地の1階だからできる技だ。 毎日アルコールを夕方から大量に飲む両親は、この事に気づく事は全くなかった。 夜中に出るため、夜ご飯を彼と一緒に食べるわけもなくただ、車を止めて話すだけ。 きっと「好きだ」とかそんな言葉を言い合った記憶もない。 付き合っているのに、いつも誰かの視線に怯え、ありもしない陰口に怯える。 「見て?あのカップルの彼女。ブスじゃない?凄いデブだよね」 そう言ってるように見えた。笑い声が全てわたしに向けられてる気がした。 自分の身なりでドラマや漫画のような「好き」なんて会話をする事があり得ない。似合わない… 「彼氏ができた」なんて言うとみんなにびっくりされるだろう…と。親しい子にしか言わなかった。 もちろん親にも言わなかった。 普通の恋愛は到底できなかった。
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