第四章 ターニングポイント

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彼に、結婚したいこと伝えた。 1つは、友人達が結婚していく中の焦りや羨ましさ。 もう1つは、母から逃れたかった。【わたしの家庭】を作りたかった。 彼は、自分の周りには結婚している人がいないからわからない、経済的に借金も返していて不安。との理由から断られた。 母は何度か彼に会ったことはあったが、寡黙で大人しい彼に、良い印象はないようだった。 ある日3人でご飯を食べる機会があった。 普通だった母が、お酒の勢いと煮えたか煮えないか分からない態度の彼にぶちギレたのだ。 「あんた!うちの子と結婚する気あんの?」「…」「なんか言いなさいよ!!」「…」「あーこの人結婚する気ないわ。ムリムリ。諦めりー。早く別れなさいこんな男!はっきりせん!」と、彼に言い放ったのだ。 わたしは「あー全てが終わった」と思った。 その日彼とは二人で話すこともなく帰った。 母を恨んだ。小学生の頃からどれだけわたしの友人に暴言を吐いたことか。 わたしなら耐えられる。わたし自身なら我慢するから、わたしの周りにはやめて欲しい。 関係性が崩れるから。その日は涙がとまらなかった。 この恥ずかしい両親の話を誰に出来るだろう。 恥さらしではないか。 話した所で「あの子の親あんならしいよー」と影で友人同士が話すかもしれない。「友達やめよう」となるかもしれない。 わたしは、ただ1人で泣くしかなかったのだ。 けれど母は言うのだ。 「どうせ、わたしのこと色んな友達にベラベラベラベラ話よるんやろうねー。みんなでわたしの悪口言って面白かろうねー。恥ずかしくてあんたの友達にももう会えんわ。 口の軽いあんたのことやから。あんたはパパそっくり。パパは口が軽いから。パパから生まれたんよ。わたしはあんたを産んでない!」 「そんなことない!言ってない!」と言っても 「あんたはパパの子なんやから、人に言わない訳がない!」とバカにしたように鼻で「ふん!!」と笑うのだ。 「パパそっくり」「パパの子」母は父が心底嫌いなのだろうと感じた。 夢も希望もなくなったのだ。死んでしまおうか。何度も考えた。 それから、1週間ほどして彼から連絡が入る。 「会えないかな」
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