第四章 ターニングポイント

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あぁ、別れを告げられるのか。そう思った。 ところが、母にあんなに罵倒されたにも関わらず彼はプロポーズをしてきたのだ。 もう母から逃れるには結婚しかない! わたしは、断る理由もなく、結婚に対して深く悩まず承諾をした。 母は高飛車に言った「わたしのお陰だ」と。 半年後に籍を入れその2ヶ月後に、結婚式をあげた。 一人暮らしもしたことのないわたしが母から四六時中離れられたのだ。 昼間に実家にたまに遊びに行く事はあれど、夜の酒の入った母には会わない。 母は料理が得意で、料理の話をしたり喧嘩も一切なく何ヵ月も過ぎた。 やはり距離を置くことはいいことなのだと感じた。 そんな頃妊娠した。 しかしすぐに出血し、2週間はトイレ以外安静!との指示がでてわたしは実家に泊まることになった。 「そんな色々上手く行くわけないと思ったんよ。」母は呟いた。 1日中、不安と心配の中ベッドで過ごす。 暇で見る携帯の情報には不安にさせる要素が盛りだくさんなのだ。 1日寝て起きると、フラフラすることがある。若干つわりもある。 初めは献身的だった母も「毎日毎日、変な顔して寝てばかり。こっちもそんな姿ばかり見てたら気分悪くなるわ!少しは動きなさい!」と不満を募らせる。 今の精神状態では母の暴言をただ聞き流すことは出来なかった。 やはり、帰る家があるのはいい。 暑い暑い真夏だった。片道一時間の道を運転する。安静指示のわたしは家を飛び出した。 母からの何度も掛かる着信を無視して 彼には「もう大丈夫」なんて言っておいた。 18の時、わたしの身勝手に中絶したあの子。 あの子のためにも、わたしはこの子を守る。きちんと産みたい。そして、母みたいには育てない!愛情を与え続けわたしが出来る全てを捧げたい。 どうか、お願いします。この子を守って。どうか…
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