第四章 ターニングポイント

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さて、時期は前後するがわたしが父嫌いになった話をする。 わたしは、とにかく父が嫌いでたまらなかった。 容姿もださい。服は着れたらいい精神。いつもリュックを背負って出掛ける。人目を憚らず、鼻歌を大声で歌う。ブツブツ言う。 母もわたしも、着て欲しい服を買うが着ないから困る。 首元が緩いものがいい!とはさみで切り、ほつれる。 母も一緒に歩きたくない。とよく言った。 うちは、新聞を頼んでなかった。 たまに父はスポーツ新聞を買っていたが、いやらしいページを開いたままトイレに置いていたり、その新聞を授業で必要な時に持たされるのでたまらなく嫌だった。 デリカシーがないのだ。 食事中にテレビを見ていても、いやらしいシーンは普通にかけるし。そんな映画をレンタルして、食事中に見るのだから。わたしはやり場がない。 それでの、父と母の性交を聞かされていた日には、父に嫌悪感でいっぱいになる。 ある日母がわたしに言った。 わたしの一回り離れてたいとこが、遊びに来ていた日。 いとこが和室で寝ていたら、お父さんが襲おうとした。と。 父のある知人が亡くなって、家にお線香をあげに父が行った際、父はその故人の奥さんを襲おうとした。と 父が母に言ってきたそうな。 わたしは当時それを母に聞かされ、たまらない気持ちになった。 ただ、今思うと父から聞いたわけではない。 今、 いとこの姉と普通に接する父を見ると、あれは母の想像を話した話だったのではないか?と怪しいものがあるが、当時の母の発言でわたしの父への嫌悪感は増すのだった。 母も話し相手がいないとは言え、娘のわたしに話す話ではないだろうに。その話を適当に聞けば「話を聞いてくれない!!」と怒られる始末。 離婚して、たまに実家に行くも父と会話することは殆どなかった。 母とわたしが喧嘩しても、理由は関係なく全面母の味方をする父。最終的には「出ていけ!帰れ!俺の家だ!」と。 ある日「帰らないなら不法侵入で警察呼ぶぞ!」と言う父に「出きるもんならどうぞ」と言うと、父は勢いで警察に電話ををした。 5分位経って、熱が冷め慌てて警察に「もう来なくて大丈夫です。解決しました」と焦り電話をしているが、警察は連絡を受けた以上は来ないといけないのだ。 家の中で、わたしと父別々に事情聴取が行われる。 子供たちは泣く。母は呆れる。妙な光景だ。 あり得ない家族で情けない。
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