419人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
私は上田さんには
会ったことはないけれど
話を聞いているだけでも
優しくて誠実な男性のイメージが浮かぶ
まして同じような境遇をこえてきた
ふたりだから
通じあうものがあるに違いないと感じる
そう思うのは私だけなのかな?
「これで会えなくなっちゃっても
良いの?茉穂は」
「……………ん……もう…いいのよ
ありがとね佳菜子」
茉穂は笑って言った
でもそれはほんとは
そう言う茉穂の心の中に
あるわだかまりが宿っていたからだったの
茉穂の午後の打ち合わせの時刻が迫る
「じゃ帰るね」
「うん!お疲れ」
席を立ち出口に向かった私は振りかえり
茉穂に言った
「連絡しなさいよ!」
最初のコメントを投稿しよう!