15人が本棚に入れています
本棚に追加
【第4章:いずみとの攻防、三たび】
4-1:毛糸のパンツ、しかもイラスト入り
◆◇◆
「なに? ジロジロ見て」
「あ、いや別に……」
すっかり寒くなった十二月のある日、学校からの帰り道。今日こそはと思い、いつもよりも入念にいずみを観察していた。並んで歩きながら、横のいずみを頭から足元まで見ていたら、いずみに不審がられた。
栗毛色のロングヘアに、綺麗にかけたウェーブ。白くて透き通るようなお肌。少し派手めだけど、美しく引かれたアイライン。大きな目を更に綺麗に見せる長いまつげ。寒い季節になったのに、唇も荒れたところなんて無くて、艶々してる。
う~ん、隙が無い。
「美人だわ」
思わず口に出た。
あ、褒めるために観察してるんじゃなかったわ。私ったら、おバカさん。
「どうしたの? 急に」
いずみは眉間に皺を寄せて、私を睨んだ。益々不審感をあらわにしてる。
その時、いずみが「あっ!」と声を出して、いきなり視界から消えた。
「消失マジック?」
私は思わず叫んだけど、そんなはずはない。
横を向いて私を見ていたいずみは、何かに躓いてコケたようだ。足元を見ると、いずみが地面にうつ伏せに転がってる。
(チャーンス!)
最初のコメントを投稿しよう!