【第4章:いずみとの攻防、三たび】

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【第4章:いずみとの攻防、三たび】

 4-1:毛糸のパンツ、しかもイラスト入り  ◆◇◆ 「なに? ジロジロ見て」 「あ、いや別に……」  すっかり寒くなった十二月のある日、学校からの帰り道。今日こそはと思い、いつもよりも入念にいずみを観察していた。並んで歩きながら、横のいずみを頭から足元まで見ていたら、いずみに不審がられた。  栗毛色のロングヘアに、綺麗にかけたウェーブ。白くて透き通るようなお肌。少し派手めだけど、美しく引かれたアイライン。大きな目を更に綺麗に見せる長いまつげ。寒い季節になったのに、唇も荒れたところなんて無くて、艶々してる。  う~ん、隙が無い。 「美人だわ」  思わず口に出た。  あ、褒めるために観察してるんじゃなかったわ。私ったら、おバカさん。 「どうしたの? 急に」  いずみは眉間に皺を寄せて、私を睨んだ。益々不審感をあらわにしてる。  その時、いずみが「あっ!」と声を出して、いきなり視界から消えた。 「消失マジック?」  私は思わず叫んだけど、そんなはずはない。  横を向いて私を見ていたいずみは、何かに(つまず)いてコケたようだ。足元を見ると、いずみが地面にうつ伏せに転がってる。 (チャーンス!)     
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