【第1章:呪縛の始まり】

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【第1章:呪縛の始まり】

1-1:全力で邪魔してやる ◆◇◆  私は高校一年生になった今も、親友(・・)粉浜(こはま)いずみ』の呪縛から逃れられないでいる。そのせいで、恋をするのもままならない。  彼女は、私が男の子と仲良くなることが許せないらしい。  私が彼女の呪縛に縛られ出したのは、中学三年の初めだった。あれからもう一年が経つ。  せっかく高校に進学して、新しい生活が始まったのに、また中学の時と同じ状況になってしまうなんて。  まさかいずみが、私と同じ高校に進学するなんて、思ってもみなかった。  しかも、こともあろうにいずみと私は同じクラスになってしまった。これは、この世に神様なんていないという証拠に違いない。  真新しい制服を身にまとい、新鮮な気持ちと希望に満ちたはずの高一の四月。  周りのみんなは、わくわくした表情を浮かべている者ばかりに見えた。  なのに私は、諦めにも似た感情を持ちながら、新しい生活を始めるしかなかった。  --なんとかして彼女による呪縛を解きたい。  そうしないと、これからの人生がお先真っ暗だ。かと言って、彼女を殺してしまうなどということはできない。     
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