【第1章:呪縛の始まり】

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 私は急いでいずみに飛びつき、顔をいずみの耳に近づけて、大慌てで耳元で囁いた。 「言わないから、言わないから、言わないから!鼻をほじったことは言わないから!」  いずみは言葉を止めて、小さな声で囁く。 「ホント?」  私は力を込めて、顔を上下にぶんぶんと振って頷いた。そして周りを見回す。  周りの生徒たちは足を止めて、何ごとかとこちらを眺めてる。 --やだ、見ないで。こんなにあたふたしてるのは、お嬢様というイメージが崩れる。  いずみはにっこり笑うと、また口を開いた。 「みなさーん。この姫松麗のご両親は、り…」  え? まだ言うつもりなの? 体にぐっと力が入り、緊張感が走る。 「理想のご夫婦なんですよー!」  何じゃそれ?  両親を褒めてもらってありがとう--とか言ってる場合じゃないわね。  私は力が抜けて、身体中がふにゃりとした。  周りの生徒たちも、「それがどうした」というような拍子抜けした顔をして、歩き出した。なにはともあれ、危機は去ったと言えそう。  せっかくいずみの恥ずかしい姿を見つけたのに、作戦は失敗に終わった。  今日は作戦失敗だったけど、いつか必ずいずみの恥ずかしい秘密をつかんで、私は自由を手に入れるんだ。私は改めて、心に誓った。
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