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どうすれば、彼女の忌まわしい呪縛から逃れられるのだろうか。
◆◇◆
「はいはーい、麗ちゃん、おはよ!」
四月とは言え、まだ肌寒い朝の通学路。
いずみはいつものように大げさに両手を振りながら、能天気に私の名を呼んでいる。
いずみは私と同じ百六十八センチの長身で、栗毛色のロングヘアに、白くて透き通るようなお肌。まつげが長くてパッチリした目の超がつく美人。
紺色に金のボタンのブレザーが、長身のせいで短く見えるほどスタイルも抜群で、遠目からも目立つ存在なの。
まあ超美人というのもスタイル抜群っていうのも、私も同じなんだけどね!
そしていずみはお父さんが会社経営をしていて、市内の高級住宅地にある豪邸に住んでいる、正真正銘のお嬢様。
その上、現役女子高生モデルまでしているの。
私、姫松 麗と粉浜いずみは、私たちの高校でも「美人でお嬢様」の座を二分している存在なのよ。
「あら、おはよう、いずみ」
私もいつものように、落ち着いたお嬢様らしい口調で挨拶を返した。
粉浜いずみは、私の親友。
いえ、親友だった。
「最近どう?」
「何が?」
唐突に聞かれて、どう答えればいいのかわからないじゃない。
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