【第1章:呪縛の始まり】

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 この子はいつも自分勝手なのよ。  もっと相手がわかるように喋るべきだと思うわ。 「新しい恋は、始まらないのかな?」  にやっと意地悪そうな笑顔でいずみが問いかける。  いやいや、あなたのせいで恋なんかできるはずがないじゃない!  いったいどの口が言ってるのかしら!? 「ざーんねん。そんないい人はいないよ。いずみみたいにモテないから」 「あっ、そっかぁ。あんたも中学の時はモテたのにねぇ」  そう、私は中学の時はモテモテだったの。だって美人でお嬢様なんだから。  それが今では男の子と仲良くすることは許されない。あなたのせいだっての! 「好きな人ができたら、一番に私に教えるんだよっ!」 「うん、わかってるって」 「私が全力で、あんたの恋を……邪魔してあげるからね!」  いずみは相変わらずとんでもない子。  意地悪そうな笑みを浮かべて、実に楽しそうだ。  最低な女だわ、いずみ。 ◆◇◆  私が少しでも誰でも男子と仲良さげにしてると、いずみは『どういう関係なの?』と根掘り葉掘り聞いてくる。  そして、仲良くするのをやめさせようとするの。  男子に告白されたら、すぐにいずみに報告するように言われている。報告すると、もちろんその告白を断ることを強要するのよ。     
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