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そのうちいずみは『今からでも、裕太君に付き合うのを断れ』と言いだした。
--え~っ? そりゃないでしょ?
私は裕太君と付き合うのを認めて欲しいとお願いしたけど、いずみは頑として認めてくれなかった。
いくら友達だからっていっても、そこまで拒絶する権利はあるのかしら?
段々と私も腹が立ってきた。
でも--
『断らないなら、裕太君にもクラスの皆にも、麗の両親が離婚したことを言いふらす』
いずみはそう私を脅した。それはそれは、ホントにマジな顔して脅すんだもん。なんてことを言い出すのか、この子は。
『それは、やだ』
親の離婚の公表をどうしても避けたい。《お嬢様ブランド》を手放したくない。私はいずみの言うとおり、裕太君にお付き合いを断った。
--って簡単に言ってるけど、結構、断腸の思いってやつだったわ。それにしても、腸が断たれるって痛そう。痛いどころか、本当にそうなったら確実に死ぬよね。
裕太君は突然のお別れ宣言に、訳がわからず焦っていた。
『この前のデートで、僕何か悪いことした?』って、すごく気にしていた。
いいえ、裕太君は何も悪くないの。
『本当にわがままでごめんね』
そう謝って、とにかくお付き合いは白紙に戻してもらうことになった。
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