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つぶれたカエルのように無様に道路に這いつくばるいずみを、上から見下ろすと気分がいい。
私は素早くスマホを取り出して、その姿をぱしゃりと激写してやった。両足を広げて倒れてるだけでもカッコ悪いのに、腰の辺りまでスカートがめくれあがっている。
なんとなんと!
いずみは毛糸のパンツを履いているじゃないの。しかもお尻に熊のイラストが入った、小学生用みたいなの。それもしっかり写真に収めた。
よし!これはいずみも、相当恥ずかしがるだろう--
「痛ったぁ~」
いずみは両腕を伸ばして、上半身を起こすと、地面に座り込んだまま私を見上げた。おでこを地面にしこたま打ち付けたらしく、痛そうに右手で押さえてる。
(バチが当たったんだわ。いい気味)
とか思いながら冷ややかな目で見てたら、いずみの右手の指の間から、つぅ~っとひと筋流れる赤い液体。
「いずみ、血が出てる!」
いくら憎っくき相手でも、さすがに怪我をしてるのは放っておけない。
「大丈夫?」
私は慌ててスカートのポケットから白いハンカチを差し出した。
「ありがとう。ハンカチ、汚れちゃうからいいよ」
いずみは自分の通学カバンからポケットティッシュを取り出すと、額の血を拭った。
「お医者さん行く?」
「大丈夫。かすり傷だから。家帰って、絆創膏でも貼っとく」
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