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【第2章:いずみとの攻防、再び】
2-1:それでもやっぱりモテモテ
◆◇◆
「鼻ほじり事件」のあと、しばらくはいずみも警戒しているのか、ほとんど隙を見せることはなかった。
私の方はというと、おかげさまで--誰のおかげかわからないけれど--高校でも一学期のうちに『美人でお嬢様』のポジションを確立しましたのよ、おほほ。
入学した直後から、クラスの男子からも女子からも、私がどういう人なのか興味を持って話しかけられた。
父がパイロット、母が元CAで、高級住宅地に住んでることを知ると、みんなは決まって『お嬢様なんだ~』と言った。まあ本当は、父は離婚して家を出て行ったんだけどね。
「彼氏はいるの?」
と聞いてきた男子も何人かいた。クラスの男子だけじゃなくて、上級生からも声をかけられた。皆さま、なかなかの肉食系だわ。
「いない」
と答えると、中には
「じゃあ僕が立候補しようかなぁ」
なんて、逃げ腰な告白をする人もいた。
その度に、私は
「ごめんなさい」
とだけ答えて、お断りしたの。
いずみの束縛がある限り、親しくなることも避けなければいけない。
少しでも男子と親しげにしていると、いずみは根掘り葉掘り聞いくる。
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