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【第3章:過去の出来事】
3-1:お父さんが出て行っちゃった
◆◇◆
私が中学二年の三学期。父がある日突然、家を出て行っちゃった。
以前から父と母はよくいがみ合ってたから、予想はできなくはなかったけれど。
父は大手航空会社のパイロットで、世間体も収入も良かった。母は専業主婦だけど、以前は父と同じ航空会社でキャビンアテンダントをしてた。すらっとした長身の美人で、友達から羨まれる両親だった。
母の血を継いだ私も、百六十八センチの長身で、モデルばりの大人っぽい顔つき。自分で言うのもなんだけど、私は学校イチの美人。
あ、同じ中学だったいずみは、自分が学校イチの美人だと言い張ってたけどね。
住まいも市内有数の高級住宅地の高級分譲マンションを借りて住んでたし、小さな頃から周りから『お嬢様』と呼ばれてちやほやされてたの。
名前が『姫松 麗』なんていうものだから、尚更お嬢様っぽかったのでしょうねぇ。
あ、ごめんね。『お嬢様』なんて言うと、もっとお金持ちで広い庭の豪邸に住んでて、資産ウン十億円とか思った? 現実なんて、こんなもの。これでも充分、お嬢様と言われてるの。
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