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【第5章:恋の予感】
5-1:二年生になったけれど
◆◇◆
何度もチャンスを逃しているうちに、あっという間に高校の一年間が終わってしまった。
その間私はいずみのせいで、あいも変わらず自由恋愛ができないまま、できるだけ誰も好きにならないように、誰からも好きになられないように、心を殺して日々を過ごしたわ。
そして二年生になった新学期の初日。
クラス替えが張り出されたのを見て、私は希望の光が差すのを感じた。
いずみと別のクラス!
神様……いいえ、先生ありがとう。
「別のクラスかぁ。残念だわ」
クラス発表の貼り紙を見上げ、嬉し涙で瞳を潤ませる私の横で、いずみは本当に残念そうに呟いた。
「そうね、残念だわ」
また心と真逆のことを口にする。大人になるって、本当に心が痛むものなのね。
「じゃあまた」
お互いにそう言い合って、それぞれの教室に向かった。
いずみの呪縛から完全に逃れられる訳ではないけれど。
それでも別のクラスになれば、日々の行動を逐一監視されることからは解放される。
ただ、いずみの情報収集力はハンパないから、気をつけなくちゃ。
あまり特定の人と仲良くなるのは、やっぱり避けた方がいい気がする。
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